2020年01月27日

消えた時計

    盗難か
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 又同じ話だが何でカタログにない時計が存在するのかと言う質問あり、私の若い頃の話で怪談めいた怖い話ですが事実の話し、大正、昭和と名古屋大手時計製造会社の開発に関わられた方の実際の話、私が古時計を蒐集し始めの頃、名古屋市内に古時計を求めて良く行く骨董屋で、品の良い老人とよく鉢合わせをした時の事。
 その老人に向かって私が古時計を蒐集していると、店の主人が言うと「若いのに古時計が好きですか」とその老人は小さな声で言われた、まだ始めたばかりで詳しいことは分かりませんが、今は「数を多くする努力をしています」と答えると、「其れは其れはご苦労なことですね」と頭を下げられた。
 その後、何度かお会いするうちに、老人が時計製造に携わった当時の事を詳しく語られるようになり、開発製造の面白い裏話を数多く教えてもらった。

 自分は時計製造会社に入り、製造部門を経て新しい時計の開発に関わるようになり、その後そこの責任者となった話、当時は数多くの新商品を開発、会社の命運がかかっており、各社生き抜くために心血を注いで新たな時計開発を行っていた時代。
 その老人は新商品の開発に日夜努力をされ、新たな商品を数多く開発され、試作品の山が出来たと言う話をされ、その一つ試作品が研究室から夜な夜な消えると言う、夕方までは壁に掛かっていたが、朝には姿がなくお化け話のような事があったと言う。
 出来の良い試作品は研究室の壁に沢山掛けてあり、研究者は目にすることの出来るようになっていたとの事、しかし、毎月給料日の前近くになると何故かしら時計の数が少なくなり、何処に消えたか分からなくなったと、其れも日常茶飯事、しかし誰もとがめなかった様で何時の間にか、その時計が質屋に入っSANY2082.JPGていた事も多くあったらしい。
 又、ある時は販売店の店先に試作品が掛かっていた事もしばしばで、其れを見て老人は冷や汗をかいたこともあったと話された。

 老人いわく「当時、給料が安かった職人は給料日前に試作品をこっそりと持ち出しては金に換えていた」と笑顔で昔を語られて、兎に角おおらかな時代であったので、数々の開発された時計が消えても、事件には成らなかった様だが今なら大変に事だ。
 そして、家にまだ試作品の時計があるから「見たければ見せてあげるよ」と、そんな話に私は飛び付き、私を家に連れて行ってくれた。
 老人の家の壁にはその試作品7、8台の時計が掛かっており、今まで見たことの無い時計ばかり、まだ塗装がされてなく白木のままの物もありビックリ。
 驚きの連続で老人の家を後にしたが、今あの時計はどうなったのか非常に興味がある所だが、何処かのアンティークショップに売りに出ているかも、試作品の時計が消える原因究明の回答に成ったが、「カタログに載ってない時計が何故あるのか」の一つのヒントにでもなればと思う、昔の名古屋の時計製造所の話。



posted by kodokei at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古時計裏話