段々に薄くなる
懐中時計、呼んで字の如く懐に入る時計の事、買って懐中時計はステータスのシンボルとして君臨してきた時計、貴族の持ち物でもあった。
もともと高価な時計であり、一般庶民に手の入る代物ではなく、一分の人たちの持ち物であったもの、その為に贅を尽くした物が多い。
古い物は勿論手作りで製作された物であり、一品しか存在しない時計であったもので特注品、それが懐中時計だと思ってよい。
手に持てる位になった時計が懐中時計になるのには時間が係り、初めての懐中時計はダチョウの卵位の大きさであったとの事。
勿論懐に入るような代物ではなく、権力の象徴としての時計であった事は確か、その懐中時計が次第に小さくなり、懐に入るようになる。
これは中の機械がまだ小さな物にならなくて、分厚くなっていたから、本体も当然の事分厚い物となって、それを懐に入れてたのだ。
そして何よりも重かった事、部品の一つ一つが大きく、そして分厚く作られていたため、重量があったもの、今の時計を想像すると比べものにならない。
写真の懐中時計、右から順に古いものであり、1番右の懐中時計は1700年代初期のもの、厚さは2センチ5ミリもあるもの。
旧式の機械であり、中々薄く出来なかったが、このクラスになると1センチ2ミリと薄い物となったおり、1番左の時計は大正時代の時計。
この時計は7ミリと前の時計と比べてもとても薄いものに仕上がっている時計、時代の変遷を目で確かめて見ると、非常の興味深いことが分かる。
懐中時計が厚さ1センチを切る位になるのには200年もの歳月が掛かっているようだと気付く、機械の進歩も実にゆっくりであったようだ。