2015年11月20日

割り駒の仕組み

    幕末のころ


SANY0855.JPG
 和時計の文字盤、日本独自の不定時報という仕組みの文字盤、一時間の長さが一定でない刻みになっている特殊の文字盤だ。
 和時計の文字盤は丸い物と細長いものとがあり、置時計と掛時計とに分かれ、それぞれの文字盤が存在している。
 初期の文字盤は非常にシンプルな文字盤が多かったようで、干支も時文字か数字のどちらかが刻まれていただけのもの。

 形も円形の平たい板一枚の文字盤で、刻みも荒く実に実用的なシンプルなもの、その文字盤が時代が下がるにつれて複雑になって行く。

 干支と数字が刻まれる様になり、メモリも細かく刻まれ、次第に複雑化して行く事に、しかし時刻を細かく読み取ると言うより、形式化されたものであった。SANY0874.JPG

 それが中期頃の文字盤になると、平たいものから立体的に盛り上がるようになり、蒲鉾上に中央が膨らんで行く事になる。

 この頃の文字盤は漆を塗り、文字は浮き彫りにされており、時刻がハッキリと読み取れると同時に、手の込んだ造りとなる。
 これは装飾的なものであり、時計そのものを豪華に見せるためのもの、時計も装飾がほどこされるようになる。

 そして今回の割り駒式文字盤へと進化を遂げるようになり、不定時報により簡単に時刻を変更できる仕組みを考えだす。

 割り駒式の文字盤とは、真鍮板の淵の方に溝を彫り込み、その溝に割り駒と呼ばれる真鍮の板を幾つか挟み込む。
SANY0877.JPG
 時刻を示す駒は少し大きく細長い板、それより少し小さな駒は半時をあらわす板、この二つの駒がセットとなり文字盤を構成する。

 大きい方の駒に数字もしくは干支が彫り込まれ、12個の駒となり、これが時刻を示す板、半刻の板は刻みはないもの。

 写真の文字盤は直径5.5センチの小型な文字盤、刻まれている溝は6ミリ幅、そこに時刻を示す駒が埋め込まれる。

 この駒、縦6ミリ、横4ミリと小さな板、その板に脚が付けてあり、溝に差し込みピンで止める形式になっている。

 ピン止めであるが薄い板を嵌め込み、左右に動く様になっていて、時刻の調整が出来る仕掛けに工夫されている。
SANY0864.JPG
 この仕掛けにより、時刻を示す板を移動させることにより、夏冬の時間調整が容易となり、自在に時刻を調整できる仕組みは画期的だ。
 この様な仕組みのある文字盤は世界にはなく、日本の和時計独自の仕組み、不定時報に合う様に考え出された究極の文字盤だ。
 小さな駒を自由に移動させ、時間調整をすると言う独特の仕組みを持った和時計、合理的に考えた文字盤である。

posted by kodokei at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 古時計よもやま話
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