2016年05月15日

不思議な時計

    何処の時計か

DSCN0766.JPG
 明治期製造された時計は数々あれど、今もって分からない時計が多く存在しているが、研究されているも分からない。
 もちろん資料のないものも多く、所在すらつかめないものも、現物は存在していても、製造会社がわからないのだ。
 今回の時計もそれに該当するもの、振り子質のラベルはハッキリと判別出来、製造元も書かれているものだ。

 しかしながら製造元も当時の記録には存在しない会社であり、現物だけが存在している事に、それが今回の時計。
DSCN0769.JPG 両方とも金本四つ丸達磨、イングラハム社をモデルとした時計、色々な時計製造会社から出されている時計の形。
 当時の人気が一番あった時計とも言われているもので、特に金達磨は喜ばれていたと言う、だから多くの時計製造会社が製造した。
 普通の八角型の時計よりも高価であったことも、人気の一因と言え、富裕層に買い込まれて居たとも言うものなのだ。
 よく古い造り酒屋の店先に掛かっているのを見かけるが、やはり高価な時計であったことの証、ユーハンスがお医者さんの所で見るのと同じ。
 DSCN0770.JPGその金四つ達磨、振り子質のラベルには変わった文字が記載されているもので、金文字で大きくパテントの文字。
 (S.ito)の文字、住所は東京浅草区浅草諏訪町二丁目とあるもので、之は当時東京浅草で時計商を営んでいた伊藤新之助なる人物だ。
 この伊藤新之助、明治25年6月に特許を申請、良く明治26年5月に認可第1911、金箔貼り付けの特許を取得した。

 従来の金箔貼りでは光沢が強く出ず、又長持ちはしなかったので、新之助が開発した下塗りは長持ちすると認可されたもの。
SANY5703.JPG 特許期間は15年、この間に製造された金達磨にはパテントの文字と伊藤の文字がラベルに記載されている。
 精工舎の金達磨にもこの文字が入っている時計が存在しているが、今回の時計は精工舎ではないのも。
 ローマ字で「セイメイシャ」と記載されているが、この会社の記録は残っていないから、明治26年以後、明治41年までに製造されたものと言う事になる。

 しかし、精工舎が伊藤新之助からパテントを買い取ったとの噂もあり、どの時点か不明である為に、時代は立証されていない。
SANY5714.JPG
 渦巻きりんには無名の台が使用されているから、ここから製造所に辿り着く事は出来ず、不思議な時計である。
 もちろん機械も無印の物が使われており、セイメイシャなる製造所は不明、しかし伊藤新之助の文字だけの時計も存在している。
 写真の下がその時計、これも勿論パテントの文字と伊藤の文字が記載されているが、製造所の文字かない事から、伊藤新之助が造ったものなのか。
 面白いのは渦巻きりんに名古屋の文字が、そして機械は明らかに名古屋製である。
 いずれにしても不思議な時計である事には変わりなく、これからの研究課題でもある時計である。


posted by kodokei at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 古時計よもやま話
この記事へのコメント
質問ありがとうございます、珍しいものですので保管する事をお勧めします。

>匿名希望さん
>
>こちらのS.Ito SEIMEISHAラベル付きの時計が偶然実家で見つかりました
>貴重な物なのでしょうか?
Posted by kodokei at 2018年07月21日 09:44
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