昔の人はお金を瓶に入れて土の中に隠したという話があり、実際に土中から掘り出されたこともしばしば、昔話にもそんな場面が出てくるほど。
一番は瓶に入れた土の中に隠す、これが一般的であったようだが、あくまでも金持ちの話、一般庶民は箪笥の引き出ししまっているのが常。
明治時代に入り庶民に貯蓄を奨励したのが新政府、ここから貯蓄が国の為になると言う風潮が、庶民はコツコツと貯蓄を行い始めた。
そして何に入れて貯めるのかと言う事になり、貯金箱なるものが売り出させるようになり、貯金箱を求めて貯蓄するようになる。
この貯金箱、時代と共に変化して行くが、一つ一つ見ていると、時代が見えてくるようで面白いもの、その時代の世相が見えてくる。
明治期に売り出された貯金箱、磁器でできたもので残っているのが珍しい
使用済の貯金箱は割られるのが普通、安価なものが多く直ぐに手に入るから、ちゅうちょ無く割ってしまい、現存している事が珍しい、大正期の貯金箱はブリキ製のもの、貯蓄奨励の文章が貯金箱にそのまま印刷され、国民に貯蓄を促すものとなっている。
この貯金箱は磁器のように割らなくてもお金が取り出せるようになっている仕掛け、これ以後の貯金箱は簡単にお金が取り出せるようになる。
昭和に入り貯金箱もより戦争の影響が出始め、質素で簡単なものとなり、贅沢が禁止された事を伺わせるものになるのだ。
そして戦後、又陶器の貯金箱が出来て、物資の不足、特に金属の不足が貯金箱にも現れ、見慣れたポスト方の貯金箱の登場となる。
貯金箱1つを見ても、その時代、時代の世相が見て取れ、庶民の生活が戦争によって左右された事の裏付けとなっている。